有機合成において、多くの官能基が存在する中で狙った部分だけを反応させることができる試薬・反応は、大変重宝されます。 例えばアルコールをアルデヒドやケトンに変換する酸化剤は、化学史上多数存在します。 しかし、現在でも使用されている試薬のほとん…
5価の超原子価ヨウ素試薬であるDess-Martin periodinane(DMP)は、温和な反応条件下でアルコールの酸化反応が進行する優れた酸化剤です。 同じ5価の超原子価ヨウ素化合物で、DMP合成の中間体ある2-ヨードキシ安息香酸(2-iodoxybenzoic acid:IBX)を使った…
有機超原子価ヨウ素(hypervalent iodine)は、原子の周りに価電子が8個の状態が安定というオクテット則よりも多くの価電子を持った状態のヨウ素化合物です。 なかでも5価の酸化度を有する超原子価ヨウ素試薬はアルコールなどの酸化反応に有用であることが…
酸素との高い親和性を利用した有機反応は数多く開発されていますが、典型元素の中で最も多く利用されている元素はリン原子だと思います。 Wittig反応と並んでリン原子の親酸素性(Oxophilicity)を利用した好例であるMitsunobu(光延)反応について見ていき…
遷移金属を用いた還元的カップリング反応は、ハロゲンなどの官能基を還元しながら炭素ー炭素結合の形成を進行させるもので、最近パラジウムやニッケルなどの利用を中心とした触媒反応の開発、適用範囲の拡大が広く検討されています。 長い間用いられてきた還…
アミノ酸は、誰もがその重要性を知っている化合物の代表例ですね。 天然から大量に入手できる必須アミノ酸などは、不斉配位子などのキラル源として、あるいは標的化合物のビルディングブロックとして、幅広く有機合成に利用されています。 天然から得られな…
不安定イリドを用いたWittig反応では通常、アルデヒドとの反応によりZ体(cis)のC=C 二重結合を与えます。 今回は、不安定イリドの有用性をさらに拡張するために開発されたSchlosser-modified condition(シュロッサー法)について、考えていきたいと思いま…
アミノ基は、医薬品をはじめとする多くの有機分子に内在する基本官能基の一つです。そのため立体選択的なアミノ基導入反応は、欲しいものだけを作ることが厳命されている現代有機化学において、非常に魅力的なものです。 今回は、カルボン酸から信頼性高くア…
不飽和結合であるカルボニル基 C=Oやオレフィン C=C などの二重結合は、酸化、還元あるいは付加反応によって、数多くの官能基へ変換できる基盤官能基です。 それゆえ C=O 二重結合と C=C 二重結合の相互乗り入れは、分子変換の多様性がますます拡がる重要な…
アルコールの酸化反応の中でもジメチルスルホキシド(DMSO)を酸化剤とする酸化反応は、試薬が安価であること、入手のしやすさ、実験手順の簡便さなど化学者にとってメリットが多く、酸化反応の一大勢力です。 今回は、特に温和な酸化条件であるParikh-Doeri…
カルボニル化合物の還元反応は、有機反応の中でも最も基本的な化学反応の一つです。 膨大な数の還元反応が開発されていますが、今回はアルデヒドやケトンの還元でFirst Choiceとしてよく使用される、水素化ホウ素ナトリウム(sodium borohydride: NaBH4)を…
有機化学では、それぞれの元素の特徴を生かしながら多様な分子変換を実現しています。 分子の骨格を作っていく炭素ー炭素結合(C-C結合)の形成は重要ですが、得られた生成物から次の反応に向けて準備する官能基変換は非常に大切な化学反応です。 今回は、硫…
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