とらおの有機化学

有機化学について考えるブログ

Other Reaction

Sandmeyer反応はアニリンを起点とする官能基導入法

2017/11/28投稿 2018/3/1更新 芳香族求電子置換反応は、置換基の少ない芳香環を修飾して多官能基化する有用な手法です。 いろいろな置換基を利用した求電子置換反応が開発されていますが、電子供与性基である窒素が置換したアニリンは、求電子置換反応の代表…

Simmons-Smith反応はシクロプロパン合成の主力反応

環状炭素骨格の中でも最小単位であるシクロプロパンは、3つの炭素が三角形型に連結したものであり、バナナ結合とも呼ばれる折れ曲がったσ結合で三角形を作っています。 歪みのある分子骨格なので一見不安定に見えますが、炭素3つのシクロプロパン、酸素原…

Vilsmeier試薬はホルミル化・アシル化・塩素化に使える脱水剤

カルボニル化合物の中でもアミドは、最も反応性が低い官能基であると認識されがちな官能基です。 確かにカルボニル化合物に関する多くの有機反応が、求核付加、エノレート形成、加水分解に分類できるため、カルボニル炭素のプラスの分極が重要となります。 …

ジチアンはアルデヒドを求核剤に極性転換させるカルボニル保護体

硫黄は周期表の第3周期の元素であり、炭素や酸素、窒素原子など第2周期とは異なる化学的性質を示します。 同じ第16族元素である酸素とよく比較されますが、とらおの理解を大雑把に言えば、価電子の数は一緒だが、化学反応に関わる軌道の大きさ(酸素:2s…

シアノヒドリンは増炭反応や極性転換に使える有用中間体

シアノヒドリンは、カルボニル基にシアン化物イオンが付加した化学種であり、アルデヒドやケトンなど反応性の高いカルボニル基の保護基として用いられる官能基ですね。 「梅干しの種を食べると死んじゃうよ!」って、子供のころ母親に脅された記憶があります…

Shapiro反応はケトンからビニル求核剤へ変換できる有用反応

有機化学に多く見られる官能基のひとつとして、カルボニル基であるケトンが挙げられます。 C=O二重結合を有するケトンは、炭素原子がδ+、酸素原子がδーとなっているため、カルボニル炭素は求核攻撃を受けやすい性質がありますね。 ケトンを利用した有機合成…

Stetter反応はアルデヒドとα,β-不飽和カルボニルとの連結を可能にする極性転換反応

シアノヒドリンやジチアンから発生させたカルボアニオンは、求電子剤との反応後に脱保護することによってケトンを与えるため、アシルアニオン等価体と考えることができます。 アシルアニオンは、アルデヒドの水素原子が脱プロトン化されたカルボアニオンと見…

Benzoin縮合は極性転換を経由した芳香族アルデヒドの二量化反応

有機化学において極性転換(umpolung)を用いた反応戦略は、これまでの常識をひっくり返すインパクトを提供しうるものであり、化学者のこころをワクワクさせます。 極性転換は、ある官能基の通常知られている化学的な振る舞いとは真逆の性質を与えること、と…

Shiinaマクロラクトン化はMNBAを使った現在最高のラクトン合成法

化学反応では一般的に、他の分子との連結反応である分子間カップリングを行いたいときは、反応濃度がなるべく濃いほうが反応速度が速くなります。 これは溶媒の量が少ない方が、フラスコ内で相手方の分子と出会う確率(衝突する確率)が高くなるためと理解で…

Yamaguchiマクロラクトン化はラクトン合成の名盤反応

有機分子の中には、タンパク質などの生体内高分子に対して作用する生物活性分子が知られています。 標的タンパク質に相互作用する場合、水素結合や静電相互作用、疎水性相互作用など、特定の官能基がたんぱく質との親和性に重要な役割を果たしています。 し…

Corey-Nicolaouマクロラクトン化はピリジルチオエステルを利用したラクトン化

マクロライド系抗生物質は四大抗生物質の一つであり、医薬品において一大グループとなっています。 大きな環状ラクトンを特徴とするこれら一連の化合物が、人類の健康に果たしてきた貢献度は計り知れませんね。 ポリケチド合成酵素(PKS)によるマクロリド(…

トリエチルボランは低温でも活躍できるラジカル開始剤

従来、イオン反応に比べて発展が遅れていたラジカル反応ですが、近年多くの化学者の努力により、飛躍的に発達してきました。 不斉触媒を利用した分子変換も開発されるようになり、ますますその重要性を増しているラジカル反応ですが、最近の目覚ましい展開を…

AIBN系ラジカル開始剤で快適なラジカル生活

カチオン反応やアニオン反応などのイオン反応は、多くの有機反応の中に組み込まれており、静電反発やクーロン力などを含めて多くの化学反応を実現します。 一方で、不対電子を有する化学種であるラジカルは電気的に中性の場合も多く、イオン反応とは違ったタ…

アゾカップリングは染料を合成する工業的化学反応

色彩は、人類だけでなく多くの生物を魅了する視覚的な刺激であり、特別な色を持つことは、人類にとって権威と繁栄の象徴でもありました。 天然から得られる色に満足できない人類の欲望を満たすため、石炭や石油などの化石燃料から得られる化合物を原料として…

Robinson環化は6員環エノンを合成する名盤反応

数ある天然有機分子のなかでも、環状炭素骨格が連なった縮環構造を有するステロイド類は有名であり、コレステロールなどは生活用語にもなっているお馴染みの化合物です。 ステロイドの主骨格にみられる6員環炭素骨格シクロヘキサンは、テルペノイドをはじめ…

Cope脱離はアミンオキシドを経由するオレフィン合成法

有機合成における基本反応のひとつである脱離反応では、多くの場合炭素‐炭素二重結合化合物であるオレフィンを生成物として与えます。 一般に、水素原子と脱離基が原料から乖離しオレフィンへと誘導されるのですが、化合物の性質により、さまざまな経路を経…

Hofmann脱離は少置換オレフィンを優先する脱離反応

炭素原子を中心とした有機化学では、脱離反応の進行とともに炭素−炭素二重結合であるオレフィンが生成することがよくあります。 β脱離と呼ばれる反応では、脱離基が付いた炭素の隣の炭素上(β位)にある水素原子がプロトンとして原料から脱離基とともに奪わ…

Eschenmoserメチレン化反応でカルボニルのα位を増炭

信頼性の高い反応の組み合わせにより、決まった構造・官能基を構築できる一連の反応スキームは、欲しいものだけをつくる化学において、大変重宝されます。 例えばテルペノイドやステロイド関連化合物の合成研究で多用されるHajos-Parrishケトンは、β−ジケト…

Mannich反応はアミン、ホルムアルデヒド、炭素求核剤が織りなす三成分連結反応

一つのフラスコ内で多数の原料が縮合する反応は、少ない反応数で多様な分子構造の創生を可能にする魅力的な合成化学です。 Ugi反応に代表される多成分連結反応の開発は極めて難易度が高く、また実用的な生成物を与えるものはさらに限定されます。 今回取り上…

Morita-Baylis-Hillman反応はアルデヒドと不飽和カルボニルのカップリング反応

カルボニル化合物は、数ある置換基の中でも最も基本的な官能基のひとつであり、様々な化学反応に利用されています。 もし、二つのカルボニル化合物を同じフラスコ内で、区別しながら連結することができれば、多数の有用な官能基を有する生成物が一挙に得られ…

光延反応はリン−酸素結合を駆動力にした立体反転を伴う脱水反応

酸素との高い親和性を利用した有機反応は数多く開発されていますが、典型元素の中で最も多く利用されている元素はリン原子だと思います。 Wittig反応と並んでリン原子の親酸素性(Oxophilicity)を利用した好例であるMitsunobu(光延)反応について見ていき…

McMurryカップリングは低原子価チタンでカルボニルをつなぐ反応

遷移金属を用いた還元的カップリング反応は、ハロゲンなどの官能基を還元しながら炭素ー炭素結合の形成を進行させるもので、最近パラジウムやニッケルなどの利用を中心とした触媒反応の開発、適用範囲の拡大が広く検討されています。 長い間用いられてきた還…

三成分連結反応のStrecker反応でアミノ酸合成

アミノ酸は、誰もがその重要性を知っている化合物の代表例ですね。 天然から大量に入手できる必須アミノ酸などは、不斉配位子などのキラル源として、あるいは標的化合物のビルディングブロックとして、幅広く有機合成に利用されています。 天然から得られな…

Wittig反応のSchlosser変法でトランスオレフィン合成

不安定イリドを用いたWittig反応では通常、アルデヒドとの反応によりZ体(cis)のC=C 二重結合を与えます。 今回は、不安定イリドの有用性をさらに拡張するために開発されたSchlosser-modified condition(シュロッサー法)について、考えていきたいと思いま…

Wittig反応はリン-酸素結合の強さを利用したカルボニル基からのオレフィン合成法

不飽和結合であるカルボニル基 C=Oやオレフィン C=C などの二重結合は、酸化、還元あるいは付加反応によって、数多くの官能基へ変換できる基盤官能基です。 それゆえ C=O 二重結合と C=C 二重結合の相互乗り入れは、分子変換の多様性がますます拡がる重要な…