とらおの有機化学

有機化学について考えるブログ

Oxidation

向山酸化はスルフィンイミドイルクロリドが仲介するアルコールやケトンの酸化法

有機合成で使用される酸化反応は本当にたくさんあり、それこそ覚えられないぐらいの反応が開発されています。 ところが多くの酸化反応は、アルコールならアルコールだけ、ケトンならケトンだけ酸化する、といった専門領域が決まっていることがほとんどです。…

三枝・伊藤酸化はパラジウムの酸化力を利用したエノン合成法

飽和炭化水素であるアルカンは強いC-C単結合で構成された分子であり、生物界をはじめ、様々な有機分子の土台として利用されています。 近年、C-H結合の直接官能基化が爆発的に発展していますが、それでもやはり化学反応性に乏しく、分子を修飾するのには困難…

Rubottom酸化はカルボニルのα位に酸素原子を導入する酸化法

炭素-炭素二重結合であるオレフィンには、電子豊富なもの、普通のもの、電子不足のものといった電子的性質が異なるオレフィンがあります。 例えば、α,β-不飽和ケトンなど電子吸引性官能基が直結したオレフィンでは、隣接基の影響で二重結合を形成しているπ電…

Davis酸化はオキサジリジンを利用した酸素原子導入法

カルボニル化合物から発生できるエノラートは、有機化学の大テーマであるC-C結合の形成で活躍してきました。 自然界に目を向けても、アセチルCoAに代表されるカルボニル化合物が、エノラートを駆使した生合成経路で活用されています。 アルドール反応やClais…

Swern酸化は二段階活性化が魅力のオススメ酸化法

2017/11/18投稿 2018/2/27更新 アルコールの酸化反応は、有機合成を進めていく上で欠かせない分子変換のひとつです。 現在では非常に優れた酸化反応が開発されていますが、長い間化学者に使われ続けてきた酸化反応は独自の強みを持った優位性がありますね。 …

Baeyer-Villiger酸化はケトンをエステルに酸化する転位反応

カルボニル化合物のひとつであるケトンは、多くの機能性有機分子にみられる基礎的な官能基です。 Swern酸化やDess-Martin酸化などにより、2級アルコールから比較的簡単に合成することができますね。 通常のアルコール酸化剤ではそれ以上酸化されないため、…

Criegee酸化は1,2-アンチジオールも酸化開裂できる有用反応

1,2-ジオールは、生体内での分子認識に欠かせない水素結合供与体であるアルコールを近接して持っていて、生理活性医薬品や機能性分子にも多く見られる官能基です。 ビシナルジオール(vicinal diol)とも呼ばれるこのジオールが隣同士で水素結合を形成できる…

過ヨウ素酸ナトリウムは1,2-ジオールの炭素-炭素結合を切断できる酸化剤

炭素-炭素結合は、有機化学のなかでも基本的な化学結合のひとつです。 多くの有機化学者がこの結合を作るために、何世紀も前から現在にわたって努力を続けています。 多くの炭素-炭素結合は化学的に安定であり、天然物など生物活動で使用される有機分子を形…

Pfitzner-Moffatt酸化はDCCを脱水剤とするDMSO酸化

Swern酸化に代表されるDMSO酸化には、活性化剤が異なる多くのバリエーションが知られています。 DMSO酸化が大きな酸化剤グループとなった理由に、DMSOの入手のしやすさ、値段の安さ、毒性の低さなどが挙げられると思います。 酸化クロムを用いるクロム酸酸化…

Evans-Tishchenko反応は分子内ヒドリド移動を利用したケトンの立体選択的還元

天然からは、長い炭素鎖上に一つ置きに2級水酸基が多数置換した天然物が単離されることがあります。 ポリケチドと呼ばれるこれらの有機分子は、その生合成においてアセチルCoAという生合成単位が、次々と連結反応を起こして形成されています。 連結直後はケ…

Tishchenko反応はエステルを合成可能なアルデヒドの不均化反応

分子の二量化反応は、一種類の化合物2分子が合体することによって、1つの新しい分子を形成する反応です。 シクロベンタジエンは有機合成でよく使われる合成素子ですが、単量体はそこまで安定ではなく、Diels-Alder反応が進行したダイマー(二量体)として…

Cannizzaro反応はヒドリド移動が可能にするアルデヒドの不均化反応

有機反応において通常の水素原子の移動は、プロトン(H+)としてある化学種から別の官能基へ移ることを指します。 例えば、酸触媒を用いたケトンのケタール形成では、酸素原子上をプロトンがうまく移動することによって、カルボニル基へのアルコールの付加と…

Oppenauer酸化はアセトンを酸化剤に用いる2級アルコールの酸化反応

有機合成において、アルコールの酸化は非常に発展した分野であり、数多くの有用な酸化法が開発されてきました。 それこそ覚えきれないほどの酸化剤が報告されているわけですが、酸化したい原料の環境に応じて最適な酸化方法は異なることが一般的です。 立体…

ヒドロホウ素化/酸化反応はanti-Markovnikov型で進行する水和反応

炭素‐炭素結合の中でも多重結合であるオレフィンやアセチレンは、有機分子の骨格構造にみられる基本的な官能基です。 多重結合に対して様々な反応試薬が作用することが知られていますが、代表的な分子変換に還元反応と酸化反応があります。 還元反応では一般…

PDC酸化はほぼ中性条件で行えるクロム酸酸化

多様な官能基を有する機能性有機分子の合成において、できるだけマイルドな条件で進行する反応は、官能基許容性の高さに直結し価値が高い反応となります。 アルコールを酸化する方法は数多く存在しますが、反応操作の用意さや試薬の値段・安定性など多くのチ…

PCC酸化は酸性条件で進行するアルコールのクロム酸酸化

重金属であるクロムを使った酸化反応は、再現性の高さや試薬の安さなど様々なメリットがあるため、これまで多くのアルコールからカルボニル化合物への変換反応に使われ続けてきました。 二クロム酸を活性種とするJones酸化はその代表例ですが、反応性の制御…

Jones酸化は酸化クロムを用いたオーソドックスな酸化法

近年では多くの化学者の努力により、多様な官能基変換を比較的簡単に達成できるようになってきました。 基礎的な化学反応のひとつであるアルコールの酸化は、アルデヒドやケトン、カルボン酸といったカルボニル化合物を得るために重要な反応です。 最近では…

オゾン分解は炭素‐炭素二重結合を切断する酸化開裂反応

炭素‐炭素二重結合は、σ結合とπ結合によって炭素原子が連結した状態であり、炭素‐炭素単結合よりも結合長が短く、強い結合と言えます。 仮にこの二重結合を切断しようとすると、先述のようにσ結合とπ結合の二つの結合を切らなければならず、大きなエネルギー…

Kraus-Pinnic酸化はアルデヒドをカルボン酸に酸化する定法

有機合成において、多くの官能基が存在する中で狙った部分だけを反応させることができる試薬・反応は、大変重宝されます。 例えばアルコールをアルデヒドやケトンに変換する酸化剤は、化学史上多数存在します。 しかし、現在でも使用されている試薬のほとん…

IBXは多様な酸化を可能にする超原子価ヨウ素試薬

5価の超原子価ヨウ素試薬であるDess-Martin periodinane(DMP)は、温和な反応条件下でアルコールの酸化反応が進行する優れた酸化剤です。 同じ5価の超原子価ヨウ素化合物で、DMP合成の中間体ある2-ヨードキシ安息香酸(2-iodoxybenzoic acid:IBX)を使った…

Dess-Martin試薬は複雑分子の酸化に使える超原子価ヨウ素試薬

有機超原子価ヨウ素(hypervalent iodine)は、原子の周りに価電子が8個の状態が安定というオクテット則よりも多くの価電子を持った状態のヨウ素化合物です。 なかでも5価の酸化度を有する超原子価ヨウ素試薬はアルコールなどの酸化反応に有用であることが…

Parikh-Doering酸化は塩基性条件で進行する温和な酸化反応

アルコールの酸化反応の中でもジメチルスルホキシド(DMSO)を酸化剤とする酸化反応は、試薬が安価であること、入手のしやすさ、実験手順の簡便さなど化学者にとってメリットが多く、酸化反応の一大勢力です。 今回は、特に温和な酸化条件であるParikh-Doeri…