とらおの有機化学

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Mannich反応はアミン、ホルムアルデヒド、炭素求核剤が織りなす三成分連結反応

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一つのフラスコ内で多数の原料が縮合する反応は、少ない反応数で多様な分子構造の創生を可能にする魅力的な合成化学です。

Ugi反応に代表される多成分連結反応の開発は極めて難易度が高く、また実用的な生成物を与えるものはさらに限定されます。

今回取り上げるMannich反応(マンニッヒ反応、あるいはマンニック反応)は、これらの課題をクリアした優秀な反応のひとつです。

 

マンニッヒ反応はイミニウムイオンと炭素求核剤の炭素-炭素連結反応

 

Mannich反応は、1級もしくは2級のアミンとエノール化できないカルボニル化合物、および炭素求核剤による三成分連結反応です。

最もよく使われる求電子剤はホルムアルデヒドとアミンから生じるイミニウムカチオンです。

弱酸性条件下で反応を行うことが多いですね。

 

Mannich reaction-fig.1

反応機構はまず、酸により活性化されたホルムアルデヒドに対してアミンが求核反応を起こし、ヘミアミナール中間体を与えます。

弱酸性条件下、さらに水酸基が活性化されて、窒素原子からの電子の押し込みによって、イミニウムカチオン中間体を生じます。

求核剤がα位炭素に水素を有するケトンの場合、酸性条件下でケト−エノール互変異性が促進され、エノール型から先ほどのイミニウムカチオン中間体に求核付加反応を起こし、生成物であるβ−アミノケトンを与えます。

 

反応のポイントは、アルコールや水などプロティックな溶媒中でイミニウムカチオンが求電子剤として発生する点ですね。

反応系内には、比較的求核攻撃を受けやすいアルデヒドが原料として採用されていますが、アルコール系溶媒を用いることによりアルデヒドに対するアルドール反応を抑制するとともに、アミンの付加によるイミニウムイオンの発生を促進させます。

また弱酸性条件は、1級アミンを用いた場合の中間体であるイミンの活性化にも寄与し、炭素求核剤とイミニウムカチオンの連結を促します。

 

マンニッヒ反応の求核剤はケトンだけじゃない

 

求電子剤の原料となるカルボニル化合物はホルムアルデヒドの他に、脂肪族アルデヒドや芳香族アルデヒド、あるいはケトンも適応できる場合もあります。

求核剤としては、エノール化可能なケトンの他に、エステルやアミドなどのカルボン酸誘導体、βケトエステルなどのカルボニル化合物やニトロ基も共役によってα位炭素を求核的な炭素変換できるため、Mannich反応の適用が可能です。

さらに、末端アセチレンやフェノール、フラン、チオフェン、インドールなどもイミニウムカチオンに対して求核攻撃できる官能基としてMannich反応に使えます。

ちなみに、シアン化物イオンの付加反応はStrecker反応に分類されますね。

 

Mannich reaction-fig.2

一般に、イミンあるいはイミニウムカチオンに対する炭素求核試薬の攻撃反応をMannich反応と呼ぶことが多く、別の方法でイミニウムカチオンを発生させることも含まれるようです。

例えば、予めアミンとアルデヒドを反応させてイミンを発生させたのちに、求核剤とともに反応系内でイミンを活性化する場合や、ヘミアミナールなどのイミン前駆体からの付加反応も本反応に分類されます。

特にα−アミドスルホンは不安定なイミンの前駆体として利用でき、有機分子触媒を用いたMannich反応の開発によく利用されていますね。

 

まとめ

 

Mannich反応は三成分連結をひとつのフラスコで実現できる貴重な反応です。

特にβ−アミノケトンをはじめとする生成物は、医薬品や多機能有機分子の開発になくてはならない化合物です。

二つの立体中心が生成物に新しく生じるため、全てのパターンに対応できる不斉Mannich反応の検討が、今も精力的に行われています。

これからの発展にも期待大ですね!

 

関連記事です。

 

Strecker反応はイミニウムイオンに対してシア二ドが付加する三成分連結反応ですね。

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 こちらはRobinson環化に関する紹介記事です。Mannich反応と同じように、有機分子触媒を用いた不斉合成も注目されていますね。

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 Mannich反応を利用したEschenmoserメチレン化もストック反応として覚えておきたい反応のひとつですね。

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